皆さんはフードロス(食品ロス)という言葉を知っていますか?近年、メディアなどで聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
この「フードロス」は、SDGsの目標12【接続可能な消費と生産】で取り上げられている問題でもあります。
この記事では、フードロスの多い国をランキングで紹介し、その国々が行っている削減対策もあわせてご紹介します!
フードロスとは?
フードロスとは、食品廃棄の中でもまだ食べられる部分があるのに、捨てられてしまうもののことをいいます。
先進国では、飲食店において客が残した料理による事業系と、家庭で作りすぎにより食べきれず破棄する家庭系の、大きく二つに分かれます。
では、発展途上国でのフードロスまでの過程にはどんな違いがあるのでしょうか。
実際にランキング形式で国ごとのフードロス量を見ていきましょう。
(ランキング出どころ:UNEP Food Waste Index Report)
第1位:中国 91,646,213 (t)
10位のエチオピアと比べると、約10倍で中国がダントツの1位でした。
中国ではもともと、客に対して食べきれない量の料理でもてなす文化があるので、それも影響しているのだと思います。
中国が行っているフードロス削減対策
反食品浪費法の可決
中国では2021年4月、「過剰な量の食べ残しをした客に対して、飲食店側は食べ残した分の処分費用を請求できる。」という内容の法律が可決されました。
これにより中国の文化も大きく変わりそうですが、それにともなってフードロスの量もかなり変化しそうです。
第2位:インド 68,760,163 (t)
続いてランクインしたのはインド。
インドは世界最大の食糧生産国でありながら、冷蔵設備不足により、多くの食料が廃棄となっています。
その量は生産量に対して25%〜35%ほど。1/3の量がフードロスになっているなんて驚きです。
では、そんなインドが行っている対策は何か見てみましょう。
インドが行っているフードロス削減対策
フードロスを訴える巨大なポスター
4m×6mもの巨大なポスターに書かれた文字はなんと、すべて廃棄食品が使われているそうです。
インドでニュースになり、フードロス削減の呼びかけになったみたいです。
参考:https://ad-bear.net/current_events/shokuhinloss_india
第3位:ナイジェリア 37,941,470 (t)
先進国とは違い、発展途上国のナイジェリアでは、フードロスの42%が出荷前の品質劣化だそうです。
そんなナイジェリアが行った対策が画期的なものでした。
ナイジェリアが行っているフードロス削減対策
一人の若者が発案した冷蔵設備
太陽光を使った冷蔵設備「コールドハブ」で、食料の保存期間が2日から21日になったそうです。
気候を生かしたナイスアイデアですね。
第4位:インドネシア 20,938,252 (t)
インドネシアでもフードロスになりうる原因はいくつか挙げられますが、結婚式での大量の料理もそれに入るでしょう。
日本の結婚式とは比べ物にならないほどの大量の料理が並べられ、それはほとんどが廃棄、ゴミに変わります。
インドネシアが行っているフードロス削減対策
大学生が開発したプラットフォーム
その仕組みはシンプルで、結婚式で余った料理を写真に撮り、欲しい人とマッチングすればそれが届けられるというものです。
本来なら捨てられるはずの食べ物が、欲しい人に届けられるという素晴らしい対策ですね。
アメリカ合衆国 19,359,951 (t)
こちらは先進国でのフードロス問題です。
発展途上国と違い、小売や消費者側で問題が起きています。アメリカでは、生産される食料のうち30%〜40%が廃棄されるそうです。
アメリカ合衆国が行っているフードロス削減対策
フードロス削減を目的とした「U.S. Food Loss and Waste 2030 Champions」を結成
2030年までにフードロスを50%削減するという目標のもとに、多くの企業が集まったそうです。
それぞれの企業が行っている対策も具体的なものばかりで、目標が達成できそうですね。
参考:https://www.usda.gov/foodlossandwaste/champions
第6位:パキスタン 15,947,645 (t)
続いてはパキスタン。パキスタンでは、水不足でありながら、希少な水源である小川もゴミにより汚染されています。
その影響もあって、食材が正しく保存できないのではないでしょうか。
パキスタンが行っているフードロス削減対策
ドライフルーツとして商品化
在庫過剰で売れなくなったマンゴーやメロンなどの果物をドライフルーツとして商品化しています。
これは、貧しい農民の副収入にもつながり、学校へ配布することで子供たちの栄養改善にも活躍しています。
第7位:ブラジル 12,578,308 (t)
農業大国であるブラジルでも、同じようにフードロスが行われています。過剰在庫や設備不十分などの原因がありますが、対策を見ていきましょう。
ブラジルが行っているフードロス削減対策
食材の無いレストラン
これは、提供する食材が無いわけではなく、お客さんが家庭の冷蔵庫から持参してくるというコンセプトです。
持ち込んだ食材が一流のシェフによって五つ星料理に変身するというわけです。
なかなか例を見ないアイデアで驚きました。これなら、必要な分だけ料理ができそうですね。
第8位:メキシコ 11,979,364 (t)
農業はメキシコにおける重要な産業となっています。
その反面、農産物を貯蔵するインフラに関しては、必要な設備や均一に品質を維持する為の基準や規定が整っていないため、不十分または不適切なものになっているようです。
せっかく生産した食物も、設備が整っていないだけに廃棄されてしまうのはもったいないですね。
メキシコが行っているフードロス削減対策
世界銀行の開発途上国支援プロジェクト
このプロジェクトは、小規模穀物生産者の穀物貯蔵施設や情報へのアクセスを改善し、食料安全保障の確保、市場への参入、競争力の強化を目指すというものです。
新しい貯蔵設備の建設や、生産者が金融やマーケット情報にアクセスできるようになれば、メキシコの穀物貯蔵インフラが改善できそうですね。
第9位:バングラデシュ 10,618,233 (t)
バングラデシュの農家では、農産物を安定的に育てるための肥料、技術、設備が不足しています。
また、冷蔵設備が不足していることから、フードロスが起きているようです。
バングラデシュが行っているフードロス削減対策
バングラデシュでは、インターネットの利用が進んでいる点を利用して、2014年あたりから食品オンラインデリバリーサービスを始めました。
若い世代を中心に、オンラインで食料・雑貨を購入すること への抵抗感が薄れており、利用者数も増えているようです。
エチオピア 10,327,236 (t)
エチオピアでは、年間通して雨が降らないことが多く、雨季に入っても水不足が続いているようです。
また資金不足から設備が不十分になり、食品の鮮度が保たれないままフードロスになっています。
エチオピアが行っているフードロス削減対策
今回の調査で明確な対策は出てきませんでした。主に、国連WFPからの支援や寄付から対策がされているようです。
まとめ
フードロスの世界ランキングについて、いかがでしたか。4位〜10位はあまり差が無いですが、1位〜3位はフードロス量がかなり多いことが分かりました。
筆者はこの記事を書くまでは、フードロスは食べきれないものがほとんどだと思っていました。しかし、それは先進国の悩みであって、発展途上国では手元に来るまでの段階で新鮮さが保てないことが原因であることを知りました。
この記事を読んで、そう思った方もいるのではないでしょうか。
今回は世界のフードロスやその対策について書きましたが、少しでも関心が増えた方がいれば幸いです。