SDGsの1つ目に「貧困をなくそう」という目標が掲げられています。
日本で暮らしていると「貧困」とはどういった状態か実感しにくいかもしれません。
しかし実は世界では約7億960万人が極度に貧しい生活を余儀なくされています。
本記事では世界の貧しい国を紹介し、その現状に迫ります。
貧困の定義
貧困にはさまざまな定義がありますが、今回は国際通貨基金が発表したデータをもとに、1人あたりの 名目GDP(国内総生産)で順位付けします。
出典: https://www.globalnote.jp/p-data-g/?dno=8870&post_no=1339
第1位:ブルンジ共和国 272ドル
ブルンジ共和国はアフリカ南東部に位置する小国です。主要産業は農業で、特にブルンジ産のコーヒーは世界的にも注目を集めています。
しかし国内では民族間による抗争が長年続いた結果、大切な農地が荒廃しました。
また資源が乏しい国でありながら人口密度が高いことも、貧困を招く要因になっています。
2006年には近隣諸国の仲介を受けて民族同士の和平が成立しました。ただ、それでもなおクーデーターや暗殺事件が時折起こっています。
隣国であるルワンダの民族間抗争は世界中から注目を浴び、積極的な支援が行われてきました。
しかしブルンジ共和国は悲惨な状況をメディアに取り上げられることがほとんどなく、経済基盤が弱体化しています。
第2位:南スーダン共和国 364ドル
南スーダン共和国はアフリカ北東部に位置する内陸国です。2011年にスーダン共和国から独立を果たし、世界で一番新しい国となりました。
独立前までは、スーダンの北部と南部の間で長年紛争が起きていました。独立後も政治的な争いが何度も起きており、未だ情勢は不安定なままです。
長期にわたる紛争の影響で食糧生産が行えず、また乾燥期や洪水などの影響もあって極度な飢餓状態に陥っています。
国内の2人に1人が十分な食料すら得られない生活を送っており、10人中7人の子供が学校に通えていません。
飢餓から国民を救うために先進国が食糧支援を行っていますが、未だ根本的な問題の解決に至っていないのが現状です。
第3位:ソマリア連邦共和国 487ドル
ソマリア連邦共和国はアフリカ大陸北東部に位置する国です。1991年に内戦が勃発して以来、長年国土が分断されており、事実上の無政府状態が続いていました。
エチオピアの支援を受けて正式は政府が発足したものの、未だに内戦状態が続いています。
長年にわたる紛争と無政府状態の結果、基本的な国家の社会サービスが崩壊しており、極度の貧困や治安悪化に悩まされています。
また度々起こる干ばつも食料難の原因です。干ばつが起こると水の調達すらままならず、数百万人単位の人々が危機的レベルの食料不安の状況に陥ります。
国民を救うために国連は国際社会に支援を要求していますが、支援額が減少しているのが現状です。
第4位:モザンビーク共和国 501ドル
モザンビーク共和国はアフリカの南東部に位置する国です。約17年間に及ぶ内戦が繰り広げられていましたが、1992年に和平に至りました。
和平終結後は比較的安定しており、経済発展は好調です。しかし未だなお国民の半数が貧困にあえいでいます。
特に北部は貧困度が高く、国内で格差が生まれています。
貧困の要因の一つになっているのが国民の教育水準の低さで、識字率は60%程度に過ぎません。
ただ近年では石炭や宝石などの鉱物資源が確認されており、2012年からは天然ガスの開発も進んでいるなど、貧困削減への動きが見られています。
第5位:マダガスカル共和国 502ドル
マダガスカル共和国はアフリカ大陸の南東海岸部に位置する西インド洋に浮かぶ島国です。
独自の生物や植物が多く存在していることで知られており、マダガスカルを舞台にした映画でも有名です。
しかし実は世界で最も貧しい国の一つでもあります。
多くの国民が農業に従事していますが、干ばつや洪水により作物に被害が及んでおり、飢餓が深刻化しています。
加えて政治危機や新型コロナウイルスの影響もあり、特に南部では100万人以上が食料不安という状態です。
各国からの支援が行われているものの、島国であることからアクセスが限定されており、十分な食料の確保には至っていないのが現状です。
第6位:シエラレオネ共和国 521ドル
シエラレオネ共和国は西アフリカの西部に位置する小国です。ダイヤモンドや金などの資源が豊富で主要産業となっています。
1991年に反政府軍による内戦が勃発し、紛争は約12年間続きました。内戦の影響で社会インプラは甚大な打撃を受け、経済は著しく停滞しました。
内戦終結後には各国からの支援もあり、年平均8%という順調な経済成長を果たします。
しかし、2014年に隣国ギボラで発生したエボラ出血熱がシエラレオネにも拡大しました。多くの国民が被害を受け、経済は再び停滞してしまいます。
感染は収束したものの、主要産業である鉱石の価格が低迷したことで経済成長率は低いままです。
現在は2018年に就任したビオ大統領のもと、雇用の創出や質の高い教育、汚職への対策などに取り組んでいます。
第7位:中央アフリカ 525ドル
中央アフリカはアフリカ大陸の中央部に位置する内陸国です。
独立して以来クーデターが相次いでおり、政情は常に不安定な状態です。そのため経済は低迷の一途を辿っており、貧困が深刻化しています。
2013年には当時の政権が反政府軍による侵攻によって崩壊し、新政権が発足しました。しかし統治能力は乏しく、各地で抗争が続いています。
国土の約3分の2が武装勢力に支配されており、食糧支援を行ったとしても略奪されるので支援が届かない問題を抱えています。
また、2013年の政権交代によって一時は経済成長率は-36.7%にまで低下しました。
少しずつ回復はしているものの、2020年は新型コロナウイルスの影響により、再び0%台まで低下しています。
2022年4月には国民の経済状況の改善を図るためにビットコインを法定通貨に加えることが可決されました。
第8位:マラウイ 567ドル
マラウイはアフリカ大国の南東部に位置する小国です。心暖かい国民性から「Warm Heart Of Africa(アフリカのあたたかい心)」と呼ばれています。
労働人口の約8割が農業に従事しており、タバコや茶などの輸出が経済を支えています。
しかし農業の生産性が低く収穫量も少ないため、多くの国民が貧困に陥っている状態です。
昨今では鉱物の資源開発に注目が集まっており、産業の成長に力を入れています。
第9位:ニジェール 595ドル
ニジェールはアフリカ西部に位置するサハラ砂漠に覆われた国です。非常に気温が高く、世界で最も暑い国の一つです。
経済の柱としてウランの輸出を行っていますが、あまりにも頼りすぎていることでウランの価格の上下が経済に大きく影響を及ぼす構造になっています。
また治安は比較的良いとされていますが、干ばつや洪水などの影響で農産物の収穫量が減少し、深刻な食糧難に悩まされています。
加えて出生率が高く、人口増加が急激に進んでいることで、飢える子供が増えているという現状です。
第10位:コンゴ民主共和国 609ドル
コンゴ民主共和国はアフリカ中部に位置する国で、アフリカで二番目の大きな国土を有しています。
10年以上にわたる紛争によって経済にダメージを受け、国土は荒廃しました。2002年に和平が成立したものの、2016年ごろより再び情勢が悪化しています。
しかし徐々に治安は回復してきており、豊富な鉱物・石油資源によって順調に経済は回復してきました。
未だなお貧困に苦しむ国民は多いですが、政府はインフラ整備や雇用の創出に力を入れて取り組んでいます。
まとめ
今回紹介した国のすべてがアフリカ大陸の国家ということに驚いた方も多いのではないでしょうか?
アフリカは過去に先進国に植民地化されており、独立の際に民族同士の紛争が多発したことが貧困の大きな原因になっています。
本記事は貧困に苦しむ国とその現状について紹介しました。一人ひとりが関心を持って貧困問題の解決に動くきっかけになれば幸いです。