【レーティング】100年間で日本に落ちた隕石重量トップテン

     
     

地球に衝突する可能性が高い天体が様々な観測施設や研究所にて、2013年までで1400個以上も発見されていることを皆さんはご存知でしょうか?
隕石の地球衝突はフィクションの世界だけでなく現実的に充分ありえる災害です。

実際に2013年ロシアに落ちたチェリャビンスク隕石は空中で大きな爆発を起こし、半径50km周囲の建物や窓ガラスの損壊などが起きました。
これにより、1500人もの負傷者が出ており、落下地点であるチェバ ルクリ湖からは総重量1トンもの隕石が回収されました。

隕石による災害の対策や研究をしている組織として「国際スペースガード財団」が存在しており、日本からは「日本スペースガード協会」が参加しています。
協会の報告によると、1913年~2013年までの100年間で日本に落ちている隕石は20件が確認されており、5年に1回のペースで隕石が日本に落下しています。

我々の住む日本では隕石による大きな災害は未だありませんが、過去にどのくらいの重さの隕石が落ちているのでしょうか?
そこで今回は1913年~2013年までの100年間で日本に落下している隕石を回収重量順にご紹介していきます。

参照元は以下の日本スペースガード協会の機関誌「あすてろいど」23巻(2014年)です。
https://www.spaceguard.or.jp/RSGC/results/ASTEROID_23_4/Vol.23-99-103.pdf

各順位のアイキャッチは回収された隕石の重量のイメージ画像です。
また、隕石は「始原的な隕石」と「分化した隕石」の2種類に分けられ、今回ご紹介する隕石は全て「始原的な隕石」に分類されるものです。
分類の詳細については以下の表のようになります。

始原的な隕石
(融けた形跡のない46億年前の始原物質)
球粒隕石 地球に落下する隕石の87%を占める岩石質の隕石で、かつて存在した天体のマントル部分です。
・特徴として、「球粒」という直径2mm以下の丸い球を岩石内部に持ちます。
・含有する鉄成分の量の多い順にE、H、L、LL、Cの5種類に分類され、球粒がはっきり見えるものから順に1~7の数字が付きます。
例:E5(鉄成分を多く含み、球粒は見えにくい)
分化した隕石
(始原物質が融けて変化した物質)
鉄隕石 ・地球に落下する隕石の4%を占める主に金属鉄から成る隕石で、かつて存在した天体の中心部分(核)です。
石鉄隕石 ・地球に落下する隕石の1%を占めるほぼ等量の金属鉄と岩石質から成る隕石で、かつて存在した天体の中心部分(核)とマントル部分の境界部分です。
無球粒隕石 ・地球に落下する隕石の8%を占める岩石質の隕石で、かつて存在した天体の地殻部分です。
・球粒隕石と同じ岩石質の隕石ですが、融けて変化してしまっているため球粒が見られない隕石です。

第1位 国分寺隕石(11.51 kg)

隕石情報

落下年月日 1986年7月29日
落下場所 香川県高松市と坂出市
回収個数 破片100個以上
隕石のグループ L6

上空で100個以上の破片に分裂して落下し、回収された重量はテラドライブのモニター部分ほどの重さになりました。
最大の破片が10.1 kgであり、香川県坂出市の国分寺町に落ちてきたので「国分寺隕石」と呼ばれています。

隕石落下当時は、青白い光や雷のような音、空に流れる複数の白い筋など多くの目撃情報がありました。
隕石を発見した人によると、ほのかに温かく、お風呂の温度くらいだったと証言されています。
国分寺隕石はL6グループに分類されるので、球粒ははっきりとは見えないようです。

第2位 田原隕石(約10 kg)

隕石情報

落下年月日 1991年3月26日
落下場所 愛知県田原町に停泊していた自動車運搬船
回収個数 1個
隕石のグループ H5

メガドライブタワー2個分の重量が回収されたそうですが、破棄された部分もあり本当は10kg以上あったと言われています。
停泊中の自動車運搬船に落下したものの目撃情報などが無かったため、落下から2年近く経った後に隕石として調査され、世界で初めて船の甲板に落ちてきた隕石だと判明しました。

田原隕石はH5グループに分類されるので、第1位の国分寺隕石のようなLタイプより鉄を多く含み、球粒は少し見えにくいようです。

第3位 美保関隕石(6.385 kg)

隕石情報

落下年月日 1992年12月10日
落下場所 島根県美保関町
回収個数 1個
隕石のグループ L6

2階建ての民家の屋根から床までを貫通して落下しており、床下からテラドライブ1個分の重量の隕石が回収されました。
当時の天候は雷雨であったこともあり、家主は「すごい雷が落ちたと思った」と語っています。
美保関隕石はL6グループに分類されるので、球粒ははっきりと見えないようです。

美保関隕石は平安時代に落下したと記録されている直方隕石と岩石の成分や外観的特徴が酷似しており、同一の天体のほぼ同じ部分から分裂してきた双子隕石ではないかという説があります。

その説が正しければ、同一の天体を元とする隕石が、1000年以上の時を越えて広大な宇宙のほぼ同じ場所に到達していることとなり、宇宙の神秘的な奇跡を感じます。

第4位 櫛池隕石(4.5 kg)

隕石情報

落下年月日 1920年9月16日
落下場所 新潟県上越市
回収個数 1個
隕石のグループ 不明

メガドライブタワー1個分ほどの隕石が新潟県櫛池村の田んぼにて回収されました。
大正時代当時の新聞では「爆音と黒煙を立てて大空から金色の石塊が落下す」と報じられており、東京、栃木、群馬、長野でも落下する隕石が目撃されたそうです。

隕石の正確なグループは調査されていないため不明ですが、球粒隕石であることはわかっています。
隕石が落ちた場所は、「櫛池隕石落下公園」として整備され、当時のクレーターを再現したモニュメントがあります。

第5位 長井隕石(1.81 kg)

隕石情報

落下年月日 1922年5月30日
落下場所 山形県長井市
回収個数 1個
隕石のグループ L6

プレイステーション2ほどの重さの隕石が長井市の田んぼにて回収されました。
農家さんがちょうど休憩していたときに落ちてきたので無事だったようですが、田植えを終えて間もない田んぼには少なからず被害があったと思われます。

2年前に落ちた第4位の櫛池隕石ほど大きく騒がれることはなかったようです。
また、長井隕石はL6に分類されるので、第3位の美保関隕石と同様に球粒がはっきりと見えないようです。

第6位 田根隕石(0.906 kg)

隕石情報

落下年月日 1918年1月25日
落下場所 滋賀県長浜市
回収個数 2個
隕石のグループ L5

田根隕石は民家の庭に1つ、小谷山という山に1つの計2つが回収されており、総重量はセガのジェネシスミニほどになります。
小谷山に落ちた隕石の方は、発見者が速水村の人であったため速水隕石とも呼ばれるそうです。

隕石の落ちた地は、後の天体精密画家の岩崎一彰氏の地元でもあります。
田根隕石はL5に分類されるので、球粒は少し見えにくいようです。

第7位 つくば隕石(約0.8 kg)

隕石情報

落下年月日 1996年1月7日
落下場所 茨城県つくば市・牛久市・土浦市
回収個数 23個
隕石のグループ H5またはH6

つくば隕石は茨城県つくばみらい市の上空10kmで爆発し、広範囲に20以上の欠片となって降り注ぎました。
隕石片の総重量はメガドライブミニとコントローラー2つほどであり、そのなかで最大の破片は177.5gでした。

爆発音はかなり大きく、東京都や神奈川県、千葉県でも聞こえたそうです。
つくば隕石はHグループに分類されるので、Lグループより鉄成分を多く含有しますが、球粒の見えやすさは5か6で確定していないようです。

第8位 笠松隕石(0.71 kg)

隕石情報

落下年月日 1938年3月31日
落下場所 岐阜県羽島郡笠松町
回収個数 1個
隕石のグループ H

笠松隕石は岐阜県の民家に落下し、サイズは成人男性の握りこぶしくらいだったそうですが重さはメガドラミニタワー(メガドラ本体を除く)ほどです。
落下から50年後の1988年には笠松町指定文化財(天然記念物)に指定されています。
笠松隕石はHグループに分類され、46億年前にはあった天体のマントル部分と考えられていましたが、さらなる調査により50億年前のものだと判明しています。
球粒の見やすさについてはグループ分けがされていないようです。

第9位 富田隕石(0.6 kg)

隕石情報

落下年月日 1916年4月13日
落下場所 岡山県倉敷市
回収個数 1個
隕石のグループ L

岡山県富田村(現在の倉敷市)の除虫菊畑にスーパーファミコンほどの重さの隕石が落下しました。
当時の地元住人は、ゴロゴロと鳴る音、北の空から落ちてくる隕石を目撃していたらしく、早々に捜索が始められ発見されました。

隕石落下が多くの人に目撃され、なおかつ落下直後に隕石が採集された例は世界的に珍しいケースであり、発見直後の隕石はまだ熱を持っていたそうです。
富田隕石はLグループに分類されますが、球粒の見やすさはグループ分けがされていないようです。

第10位 神大実隕石(0.448 kg)

隕石情報

落下年月日 1915年頃
落下場所 茨城県坂東市
回収個数 1個
隕石のグループ H5

茨城県の水田に爆音の後に落下した隕石で、重さはWii Uのゲームパッドほどです。
記録が残っていないものの1913年から1916年の間の3月から4月に落下したと伝えられており、当時の人々の注目も集まりましたが科学的な調査が行われたのは1970年代に入ってからでした。

神大実隕石はHグループに分類されるので、Lグループよりも鉄を多く含み、球粒は少し見えにくいようです。
国立科学博物館に実物が展示されており、ミュージアムパーク茨城県自然博物館にはレプリカが展示されています。

国立科学博物館 公式サイト 日本館3階フロアマップ http://shinkan.kahaku.go.jp/floor/n-3f-s_jp.html
ミュージアムパーク茨城県自然博物館 公式サイト 総合展示 https://www.nat.museum.ibk.ed.jp/exhibits/sougou.html

最後に

100年間で日本に落下した様々な隕石を重量に基づいてランキングしてきました。
日本スペース協会によると、日本の5年に1回ペースの隕石落下は、国土が小さいにも関わらず世界の隕石落下数の平均値に近く、これは諸外国に比べて日本の人口密度が高く、隕石発見例が多くなっているためだと報告しています。

諸外国よりも人口密度が高いということは、裏を返すと日本は諸外国よりも大きな隕石が落下した際の災害リスクが高い傾向にあるということです。

自然災害となる大きな隕石落下は地球の陸地で100年あたり9回確認されており、11年に1回の割合で落ちている計算になりますので、私達が生きている間にも十分に起こりえます。

そんななか、国際スペースガード財団やNASAによる地球の周りにある小天体の監視や研究が日々進んでおり、NASAでは小天体に宇宙機を衝突させて軌道を変える実験を2020年に予定しています。

映画「アルマゲドン」のように、人類の力で隕石衝突を回避できる時代はそう遠くないのかもしれません。

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