2019年11月16日に高輪ゲートウェイ駅が報道向けに公開されましたね。
高輪ゲートウェイ駅では暫定開業予定の2020年春から9月まで食や音楽、アート、スポーツ
に関するイベントが実施され、東京オリンピックではパブリックビューイングも行われるので、
まさしくゲートウェイ(玄関、入り口)の名前通りに多くの人が訪れるのではないでしょうか。
そんな高輪ゲートウェイ駅ですが、その名前は2018年6月にJR東日本が公募形式で募集し、
総応募数6万4052件、全3228種類の候補名から選ばれたものでした。
数千人の応募が集中した候補名もあり、あくまで投票ではなく公募形式であるため
応募数36件(応募数130位)の高輪ゲートウェイが選ばれましたが、他にはどんな候補名があったのでしょうか?
そこで今回は候補となった駅名を応募数に基づいて振り返ってみようかと思います。
(応募数はNHK NEWS WEBにより公表された数字に基づいています)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181204/0022141.html
※各アイキャッチ画像について、引用のものは候補駅名と関わりのあるものです。
それ以外は候補駅名のイメージ画像となっております。
第1位 高輪 8398件
8000件以上もの応募があった「高輪」ですが、やはり近くに高輪大木戸跡という江戸時代の関所跡や、
高輪神社があるため「高輪」という言葉が多く寄せられたのでしょう。
しかしながら、既に「高輪」の名を冠する都営浅草線の高輪台駅、東京メトロ南北線と都営三田線共用の
白金高輪駅が存在しており、紛らわしくなってしまうため見送られたのかもしれません。
結局のところ、多くの人が新駅にイメージした「高輪」という言葉自体は「高輪ゲートウェイ」に含まれて
おりますが、カタカナである「ゲートウェイ」が付くことで他の駅との差別化をしていますね。
第2位 芝浦 4265件
新駅から海側の方面に芝浦中央公園や芝浦水再生センターがあるなど「芝浦」という言葉も
多くの人にとってイメージしやすい言葉であったようです。
一方で、海方面には東海道本線や東海道新幹線、上野東京ライン、横須賀線の複数の線路があるため
若干、芝浦方面にアクセスしにくいように思えます。
高輪ゲートウェイ駅の開業に合わせて行われるイベントも内陸側の土地を使用するそうなので
利用者は芝浦側よりも高輪側に向かいそうなので、「芝浦」は駅名として採用しにくいかもしれませんね。
第3位 芝浜 3497件
古典落語に「芝浜」というお話があり、その舞台が「芝浜」という地名で
現在の本芝公園周辺に当たるそうです。
本芝公園は浜松町と田町駅の間にあり、新駅が建設される場所とは離れているため
採用されなかったと考えられます。
一方で古典落語の題名から取ってくるのは面白いですし近くに芝浦があり、同じ
芝の字が付いているので丁度良い感じもしますね。
同票第4位 新品川 2422件
元の駅の隣駅に「新」を付けたパターンの駅を置くのは新横浜や新大阪などの例があり、
「新品川」も想像しやすいです。
「新」が付くケースは、新幹線の乗降駅や別事業者が元々ある駅の近くに新しい駅を置く際に
付けるなどがありますが今回はそのどちらのケースにも当てはまりませんから見送られたのでしょうか。
また、新駅は港区にあるため、品川区にあるわけでも近いわけでもないことを考えると、
「品川」の文字は入れにくそうですね。
同票第4位 泉岳寺 2422件
「泉岳寺」は都営地下鉄浅草線と京急本線が通る泉岳寺駅が既にあり、なおかつ泉岳寺駅と
泉岳寺で名称にまつわるトラブルがあったことを考えると名付けにくい名称ですし、既存の
隣接した駅と同名なのも紛らわしいですし、見送られたのでしょう。
しかし、泉岳寺へのアクセスは良好ですし泉岳寺駅が隣にあることを踏まえると、多くの
応募があったのも頷けます。
第6位 新高輪 1275件
新しい駅と高輪の二つの要素を合わせたり、グランドプリンスホテル新高輪が近くにあるから
など様々な考えで応募された名前と思われます。
1位にある「高輪」という名称が6位にも入ってきていることを考えると、やはり多くの人が
新駅に「高輪」の文字をイメージしているのが伺えますね。
第7位 港南 1224件
新駅の住所が東京都港区港南二丁目ということで、「港南」という地域にある駅ですから
かなり妥当な駅名ではあります。
しかし、すでに神奈川県横浜市港南区に港南中央駅という駅があるので紛らわしさは
やはり出てしまいそうですね。
第8位 高輪泉岳寺 1009件
高輪と泉岳寺がそのまま合わさった名前ですが、泉岳寺駅との差別化のために
高輪を入れた感じなのでしょうか。
「泉岳寺」の名は4位にて説明したように、採用しづらい経緯がありますから
見送られたのでしょう。
第9位 JR泉岳寺 749件
確かに「JR」の文字を入れれば隣の泉岳寺駅と差別化できますし、大阪府にて
2018年3月に開業したJR総待時駅のように「JR」が駅名に入った例もあるので、
有力な案ではあります。
ただし、4位、8位と同様の理由で「泉岳寺」は入れにくそうですし、見送られたのでしょう。
第10位 品田 635件
品川駅と田町駅の間ということで「品田」とイメージすることができ、公募開始より前に
2017年12月放送のタモリ倶楽部でタモリさんが新駅について「品田」と発言していたことも
相まって「品田」に応募が集まったのかと思われます。
国分寺駅と立川駅の間にあるため「国立駅」と命名された実例もあるので、「品田」に
なる可能性は充分にあったのかもしれませんね。
最後に
振り返ってみると地名や名所からイメージされた名前が多く、なおかつ山手線の
各駅名が漢字2~4文字で構成されているので、それに合わせるよう多くの人が意識したのかもしれませんね。
JR東日本は「高輪ゲートウェイ」を採用した理由については以下のJR東日本ニュースで発表しています。
新駅の地域で江戸時代や明治時代に多くの人が行き交い賑わった歴史を引き継ぐように、今後の
国際交流の場として多くの発展に貢献してくれる名前を選定したそうです。
JR東日本ニュース 田町~品川駅間の新駅の駅名決定について
https://www.jreast.co.jp/press/2018/20181201.pdf
「高輪ゲートウェイ」の名前に批判の声も挙がっていますが、開業以降の様々なイベントを通して、
実際に駅に触れる機会が多くなれば「高輪ゲートウェイ」の評価も変わっていくのではないでしょうか。