名字は人生で欠かすことができない存在である。人生の途中で様々な理由から別の名字になる人もいるだろうが、基本的には小さい頃から使っている名字には親しみを持つ人が多いことだろう。しかし集団生活をしていればどうしても、自分と同じ名字の人と一緒になることはあると思う。自分と同じ名字の人がどのくらいいるのだろうと疑問に思ったことはないだろうか?
今回、加入者のデータを元に、明治安田生命が「全国同姓調査」を行い発表したので、そのランキングをご紹介したい。ぜひご自身だけでなく、友達の名字が10位以内に入っているのか確認をしてみてはいかがだろうか?話題にすれば盛り上がること間違いないだろう。
※¹この記事は明治安田生命が行った「全国同姓調査」を元に書かれたものである
※²名字の由来については諸説あり
1位:佐藤
〇藤原公清が朝廷の官位である「左衛門尉(さえもんのじょう)」に命じられた
〇朝廷の上から2番目に偉い地位を「佐」といい代々務めていた藤原氏が「佐藤」と名乗った
〇佐渡守(さどのかみ)になった藤原氏からつけられた
以上の3点が佐藤姓の主な由来であると言われている。ではなぜ全国で佐藤が1番に多いのか、それは戦国時代佐藤姓の中に大名になった人がいないことが理由とされている。何故それが関係あるのかというと、当時は親族を除き主君と家臣が同じ名字であってはいけないという決まりが存在したからだそうだ。例えるのであれば、「加賀百万石」で有名な前田利家が統治していた加賀国では、前田から前多や毎田に改正されたというのが分かりやすいだろう。
全国的には1番目に多い佐藤だが、地域別でいうと東日本に多く住んでいるらしく、その中では2番目に多いのだそうだ。
(コメント)佐藤姓が多いのは知っていたが、理由は分かっていなかった、改めて調べてみるのは面白いと感じた。
2位:鈴木
〇紀伊半島の熊野地方では刈り取った後の稲わらを「すずき」と呼んだ
〇全国各地に3000もの分社がある熊野神社の広まりに伴い「鈴木」が増えた
〇愛知県東部三河地方の鈴木一族が最も有力で徳川家の傘下に入ることで更に栄えた
以上の3点が鈴木姓の主な由来であると言われている。鈴木姓が多い理由としては、来年の豊作を願うために、高く積み上げられた稲束の頂点に立てられた1本の立木が鈴木と呼ばれ、農業には不可欠な存在だったらしい。そのため農民からの信頼が厚く、明治時代に多くの人が鈴木姓を譲り受けたのだそうだ。
鈴木姓に関しても佐藤姓と同様で、東日本に多く住んでおり、なんと1番目に多い名字であるらしい。
(コメント)全国で佐藤姓が1番目に多かったので、東日本で見たときに鈴木姓の方が多いのは驚きだった。
3位:高橋
〇高い場所にかけられた橋の近くに家があったから「高橋」となった
〇高橋神社を氏神(同じ地域の人が共同で祀る神のこと)としている一族からきている
〇高橋という地名からきている
以上の3点が高橋姓の主な由来であると言われている。高橋姓が多い理由としては、川を渡るのに渡し船を利用するのが一般的だった時代に大体の名字がうまれたため、橋を目印にするのが簡単だったからだそうだ。そのため「橋」がつく名字は多くなっている。高橋姓は特に地名や地形から来た理由が大きいだろう。
高橋は全国区で多い名字となっており、東日本のほかに四国にも多く住んでいる。
(コメント)地名から名字になるのはメジャーで、高橋以外にも沢山の名字が地名からきているそうだ。
4位:田中
田んぼの真ん中で田中であると言われているが、田んぼの上だと田上になり、田んぼの下だと田下になるそうだ。それに繋がる形で、村長は村の真ん中(田んぼの真ん中)に家があるから田中と呼ばれたという説もある。
(コメント)田中姓は西日本に多く住んでおり、1番目に多い名字となっている。
5位:渡辺
渡辺姓だが1つ面白い逸話がある。節分の日に渡辺姓は豆まきをしなくていいのだそうだ。何故なのかというと、昔々に最強の鬼がいたのだが、その鬼を倒したのが渡辺姓だったため、恐れられているかららしい。
(コメント)節分に関しては調べると、より詳細な情報が得られるので、ぜひ検索してみてほしい。
6位:伊藤
第1位の「佐藤姓」でもそうだが、「藤」がつく名字は藤原氏に関係する理由が多く、移り住んだ土地の名前と合わさって名字となったそうだ。伊藤姓は東海地方でよく見かける名字である。
(コメント)伊藤姓は商才がある人が排出されやすいという噂があるそうだ。
7位:中村
田中姓に続き主に地名や地形からきた名字である。他には、平宗平の子孫が鎌倉幕府から譲り受けた土地があり、移り住んだ際に平家の名を捨て、中村(自分は村の中心であるという意味を込めて)を名乗ったという説もあるそうだ。
(コメント)平家といえば「平家の落人伝説」が有名である。ぜひ調べてみてはいかがだろうか?
8位:小林
古来の日本には雑木林が多くあったのも小林姓が多い理由の一つであるそうだ。また、小林姓が多い地域に古墳があったため有力な豪族だったのではないかという説もある。
(コメント)上野国緑野群小林は群馬県であり、その周辺や北関東に多い名字となっている。
9位:山本
山のふもとが農作物の栽培に適していたという理由の他に、山を神格化していたためその付近で住んでいたのではないかと言われている。また、日本には山が多く存在していたというのも、山本姓が多い理由の1つだろう。
(コメント)地形からきた名字であるため全国的に多いが、特に西日本に多く住んでいるらしい。
10位:加藤
加賀に移り住んだ「藤原氏」が加藤になったと言われている。加賀は現在で言うと石川県の南部あたりに属していそうだ。加藤姓は東海地方を中心に、東日本に多い名字となっている。最も多いとされているのは愛知県である。
(コメント)現在では加藤姓も全国的に多い名字の1つとなっている。
名字の由来を調べていて面白いと感じたのは、同じ名字でも地域によって由来が異なってくるという点だ。諸説紛々としているので、是非ともご自身で調べていただくことをおススメする。自分が想像もしていない様な由来がそこにはあるかもしれない。名字の由来を調べていくと、家紋も調べられる場合がある(ランクインされた名字のほとんどは検索できる)ので、そちらにも要注目となっている。
自分の名字や名前は生きていく上で「個」を表す大事な要素となっているので、改めて調べ直すことで自分を見つめ直すことにも繋がるのではないかと感じた。名前に関しては、ご両親に聞いてみてはいかがだろうか。もしかしたら今よりもっと自分の名前が好きになるかもしれないだろう。